日本試薬協会が20周年を迎えたのを記念して開かれた座談会が昨日付の本紙に載っている。会長、副会長、専務理事の7人が歴史や課題、将来展望などを語っている。試薬そのもの、およびこの業界を他の業界の人が知るのにも参考になる内容だ▼長くケミカル試薬中心だったが、近年はバイオ試薬の台頭が目覚ましいこと、しかしそのバイオ試薬はほとんどを輸入に頼っていることなどが語られている。また、たとえば5年とか10年に一度しか注文の来ないような製品もあるが、ユーザーのために保管しており、それゆえ廃棄の問題もつきまとうという▼ネット通販で法令順守を徹底できるかという問題提起もある。また、バイオ試薬の物流では温度管理が必須で、そのデータをユーザーに渡すこともあるという。前日夕方までに注文されれば翌日昼までに届けられるという迅速なデリバリーなどユーザーサービスに徹底しているが、それだけにコスト問題もともなう▼バイオ試薬が増えてきたとはいえ、やはり日本の産業の強みは化学であり、ケミカル試薬の重要性はいささかも減じない。野澤学会長は、バイオファーストの社会であっても、「化学の基礎があってのバイオだ」と語る。構造式から現象を考える化学反応的思考を研究者には取り入れてもらいたいと締めくくっている。(20・3・25)

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