脱炭素、脱プラスチック-。テレビや新聞で頻繁に登場し、一般用語になりつつある。こうなると、もう歯止めが効かず、行き着く先は「炭素やプラスチックは悪者。地球環境に害をもたらすから無くそう」となる。化学の新聞だから反論するのではない。問題の本質はそこではない▼炭素がなければ人類は生存できない。人類も動物も植物も炭素で構成されている。問題の本質は化石資源を大量に消費し、過剰に大気へ放出してきた人類の無計画さにある。プラスチックがなかったら、重たい素材や製造にエネルギーを大量に使う素材に代えざるを得ない▼問題の本質を分かってもらうにはどうすればいいのか。ふとイソップ寓話の「北風と太陽」を思い出した。そうか、ずっと北風だったのかもしれない。いくら炭素やプラスチックが悪者なのではないと言ったところで、「そんなこと言ったって、世の中は・・・」となっていたのか▼北風のように伝えようとするだけでは埒があかないのなら、太陽のように伝えたら伝わるのだろうか。しかし、太陽のように伝えるとはどういうやり方なのか。若手記者と話していたとき、SNSの話題になった。記者の本分はいかに色々な人と会ってニュースを取るかだ、と伝えようとして立ち止まった。そうか、その手があるのか。(22・4・11)

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