熱戦が繰り広げられる北京冬季五輪。潜む魔物のせいで実力が発揮できない選手がいる一方、それをはね除けて好成績をあげる選手もいる。プレッシャーに打ち勝ち安定したジャンプを見せ、見事ノーマルヒルを制した小林陵侑選手の「僕が魔物だったかもしれないです」との言葉に納得した▼一方、「魔が差す」ことで取り返しがつかないことになるケースもある。例えば、ごみの不法投棄。懲役5年以下か罰金1000万円以下が課せられることを知っていれば、行為に及ぶ人はいないだろう。今では随分減ったタバコのポイ捨ても同様に法に触れる▼事故の多発で社会問題化した歩きスマホは一向に減る気配はない。歩きスマホの規制に特化した条例を制定する自治体も現れたが、罰則はなく注意喚起や啓蒙活動にとどまっている。全国で初めて埼玉県で施行されたエスカレーター歩行禁止条例も罰則はなく、依然として歩く人を見かける▼ペナルティを課されないとルールを守らないのは人間の弱さ。でもコロナ禍でのマスク着用は、自己防衛だけでなく他人に迷惑をかけたくない気持ちも大きいはずだ。この心構えが無責任行為の撲滅につながる。自分だけなら大丈夫という甘い気持ちにならないように、不意に魔物が降りてきても動じない強い意思を持っていたいものである。(22・2・10)

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