自由と安全と生命が蹂躙される光景を目の前に、恐怖と憎悪と焦燥が世界に広がっている。こんなとき、何を書けば良いのか。報道機関の端くれとして正義を説くべきかも知れない。あるいは専門紙として業界への影響を解説するべきかも知れない。しかし、これが何を意味するのか、冷静に考えてみたい▼第二次世界大戦が終結して77年、ベルリンの壁が崩壊して33年。束の間の平和と安全を享受した人類はいま、どこへ向かおうとしているのか。新しい支配者が君臨する、新しい時代への挑戦なのだろうか。世界が分断され、人々は憎悪に燃え、誰もが軍備増強を熱望する。そんな時代の始まりなのだろうか▼新型コロナウイルスが世界を震撼させてから2年以上が経ち、世の中は大きく変わってしまった。在宅勤務にビデオ会議、飲み会は自粛し人の集まる場所は遠ざける。大人は一人、部屋で仕事をこなし、子供はパソコンで授業を受ける。人と人が触れ合うことで知る人間社会のさまざま機微、連帯感、ほろ苦い経験、ときめきをどうやって知るのだろうか▼省エネでエコロジーな生活も、新しい時代に必須だ。コストの安い田舎で暮らし、エコに反する動物性タンパク質は摂らない。飛行機には乗らず、VRで旅をする。そのような新時代は、すでに始まっているのだろうか。(22・3・8)

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