ばんえい競馬は農耕馬として利用されてきた「ばん馬」が主人公。体重は1トンと、サラブレッドの約2倍だ。舞台は北海道帯広市。7月から観客の受け入れを再開した。2つの坂を乗り越える障害コースは間近で併走しながら応援できるのが楽しみの一つ▼現役馬は800頭程度で、この10年間で3割ほど減っている。競走馬生産者の高齢化や馬主の減少が背景にあり、それにともなって1頭当たりの出走回数が増加傾向にある。帯広市の単独開催となった2007年度は年平均15・4回だったが、18年度は19・3回と26%増加。中央競馬に比べると、かなり酷使されているようだ▼負担を軽減するには頭数の確保が課題。そこで帯広市、帯広畜産大学、インターネット投票購入サイトを運営する楽天グループの競馬モールの三者がばん馬の疾病予防に向けた共同研究を開始した▼疾病の一因として、飼料と腸内微生物に関係があると考えられている。各厩舎における飼料の調査と栄養分析に加えて糞便中の化学成分分析、微生物の遺伝子解析などを行う▼ばんえい競馬の売上金は拡大が続いており、19年度は310億円と前年度比27%増を記録した。レースを安定的に継続させていくためには、まずもって馬の健康が第一。研究費用は売上金の一部を利用した積立金から拠出される。(20・8・21)

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