海外の人が日本に来て高く評価するものにコンビニや100円ショップがある。高品質なのに安い。レストランのランチも、その品揃えの多さに驚くという。しかもサービス精神に溢れている。反対に、日本から海外に移住すると、良いものは値段が高く、安いものは質が悪いという▼消費者の立場からすれば、日本は有り難い国だ。しかし、労働者の立場からはどうか。この国では長い間、賃金があまり上昇していない。いつしか何の疑問も感じなくなっていたが、高品質なのに安いという事実は、どこかに無理があるのではないか▼一本10円の「うまい棒」が4月から12円に値上げされることを憂う記事をいくつか見た。原油などのエネルギー価格が上昇すれば、燃料、原材料、物流費などあらゆるもののコストが上昇する。とくに、食品の原材料である農産物は、エネルギー価格上昇によるコストアップが大きく響く。値上げされて当然ではないのか▼記事を書いた記者は、原油の動きを知っているのだろうか。多分、知っていても関係ないのだろう。物価が上がると騒ぎ立てるため、うまい棒を利用したのだ。そしてカーボンニュートラルだと騒ぎ立て、その結果起こるグリーンフレーションが、うまい棒どころではない影響をこの国にもたらすことを知っているのだろうか。(22・2・8)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

セミナーイベント情報はこちら

精留塔の最新記事もっと見る