科学に対する意識が新型コロナウイルス感染症の拡大により変化しているようだ。3Mが14カ国を対象に毎年実施している科学に対する独自調査「ステート・オブ・サイエンス・インデックス」で分かった。9割近い人が科学や科学者への信頼を示しており、この結果は2018年の調査開始以来最高だ▼科学に対して懐疑的な意識を持つ人の割合も過去3年間で初めて減少した。今回はパンデミック前の昨年8~10月と今年7~8月の2回に分けて調査を実施しており、それを比べてみると日本は科学の重要性の認識について10ポイント前後増加している。感染拡大を防ぐには神頼みではなく、治療薬の開発など科学技術に頼らざるを得ない心情からか▼社会課題解決に向け民間企業に期待することの問いには、日本は「将来的なパンデミックや疾病の発生に備える施策」が74%でトップ。世界平均より13ポイント高かった。政府によるリーダーシップを期待するとともに、官民連携による解決を求める声は多い▼日本の企業はコロナ拡大の直後からマスクや医療用ガウンなどの品不足に対応し、原材料を含めて調達・供給体制構築を急いだ。同時に、多様な企業が感染拡大防止に資する製品開発に取り組んできた。衰えをみせないコロナとの戦いに打ち勝つため、企業が負う責任は重い。(20・11・26)

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