今月初旬の全国紙の北陸版を読んでいたら、全国や他地域と同様に「シュリンク」の記事が多かった。設備投資、人口、コンベンションのそれぞれ減少や企業倒産の増加、これらおしなべて経済のシュリンクに関する記事がやはり目立つ▼これは致し方ない。この状況を踏まえて、アフターコロナ、ビヨンドコロナと言われる次の社会経済のあり方に向けていかに衆知を集め、行政、企業、住民各レベルでいかに実効的な対策を打っていくかが問われている▼弊紙本日紙面の「北陸地域」特集の各県の知事、企業トップのコメントにも、苦境に屈せず、そして苦境を乗り越えた先になにを見ているかがしっかり表れている。医薬品、炭素繊維、人工衛星関連など個性的な産業のさらなる育成強化が各県で目指されている▼ここから先は石川県の話だが、その朗報は隣県にとっても喜びだろう。日本海側初の国立美術館「東京国立近代美術館工芸館」が、10月24日に開館記念式典を開催し、翌日から始まる展覧会で一般公開を開始する。元サッカー日本代表の中田英寿氏が名誉館長を務める。現工芸館が所蔵する美術工芸作品1900点以上が東京から移転する▼工芸王国・石川に新たなミュージアムの誕生。経済の復興とともに、文化・芸術のさらなる興隆、深化を期待したい。(20・8・19)

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