本来なら今頃、もう東京オリンピックは終わり、1週間後の東京パラリンピック開幕を控えているはずだった。コロナによって1年延期となったが、第2波の可能性はくすぶり続け、感染拡大を押さえ込むにはまだ程遠い。それまでに何とかワクチンや治療薬が開発され、選手も観客も安心して参加できるようになればいいのだが▼スポーツ観戦は素晴らしい体験だ。22年前、大好きなイングランドへ友人と旅行へ行き、運良くチケットを入手できたイングランド対チリのサッカーの試合を観た。聖地ウェンブリースタジアムで行われたその試合は、当時18歳のオーウェンがA代表デビュー。ゴールにこそならなかったが、相手を置き去りにする一瞬のフェイントと圧巻のドリブル、ポストを直撃した強烈なミドルシュートに9万人の観客が熱狂。その光景と大歓声は今も忘れない▼来年の東京大会は無観客となる可能性もありそうだ。生で観戦できるに越したことはないが、生観戦できないのは悪いことばかりではないかもしれない。革新的な技術によって、迫力ある角度からの映像や詳細な情報を楽しめる期待もある▼大会ビジョンには「スポーツには世界と未来を変える力がある。」とある。コロナに負けることなく成功裏に開催され、世界を変える力があることを見せつけてほしい。(20・8・17)

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