あの男は長い年月をかけて力を溜め、機会をうかがっていたように思える。地政学的にも軍事的にも極めて重要な位置にある隣国が敵側に傾くのを、指をくわえて見ているわけにはいかないという主張である。握る権力は強大化し、あと15年も長期政権を続けることができるのを許してしまった。人類はまた同じ過ちを繰り返すのか。77年経っても何も学んでいなかったことになる▼止める方法は今のところ、2つくらいしか見当たらない。1つは、あの男自身が侵攻を止めることを決断すること。しかし全ての要求を満たす必要があり、極めてハードルが高い。仮に要求を満たしたところで、世界規模の脅威はむしろ増大する恐れもある▼唯一の希望は、国民が指導者の暴走に気付くかどうか。経済制裁が加速し、世界中の企業が撤退を始め、すでにスーパーの棚は空きが目立つほど物資不足になりつつある。メディアは規制され、テレビは全て政府のプロパガンダだ。しかし生活が立ち行かなくなれば、多くの国民が「おかしいぞ」と気付くはずだ▼反戦デモは数千人にとどまり、多くが拘束されている。しかし数万、数十万と拘束しきれないほど膨れれば、暴走を止める大きな力になる。まもなくインターネットも遮断されるはずだ。多くの人に気付いて立ち上がってほしい。(22・3・14)

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