新型コロナウイルス感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻は、世界のさまざまなリスクをあぶり出した。食料供給もその一つで、G7サミットでも追加支援を行うことで合意した。需給バランスに加えエネルギー価格、物流網といった要因が絡み合い事態が深刻化している▼農林水産省が発表した「食料の安定供給に関するリスク検証」はそうした危機意識の表れだろう。国内外のリスク25種を選定し、32品目を対象に各リスクの起こりやすさと影響度を分析、「重要なリスク」「注意すべきリスク」を特定している▼輸入で大きな影響を与えているのが価格高騰。飼料穀物はすでに顕在化しており重要なリスクと評価された。国内生産で起こりやすさが高まっているのが労働力不足で、とくに畜産物、水産物は重要なリスクとされた▼気候変動も無視できない。温暖化・高温化ではほぼすべての品目が注意すべきリスクとなり、台風など一時的な異常気象では野菜、果実が重要なリスクと評価された。家畜の伝染病は一度起これば影響度が大きいため重要なリスクとなった▼こうしてみると日本の食料供給はリスクだらけだ。どのようなリスクがあるのかを把握することは大切だが、それはあくまでも第一歩。リスクを認識したうえで適切な対策を打つことが食料安全保障の確立につながる。(22・7・1)

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