人に会い面と向かって話すのと、メールや電話でやり取りするのではやはり違う。表情の動きや間の取り方で何かを察するにはやはり対面で話すに限る。そんなことは当たり前と考えてきたが、その当たり前が難しくなることもあるのだと知った▼新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな行事が延期あるいは中止になっている。出歩くこと、人の集まる場所に行くことがリスクなので仕方ないが、ポツポツと空いていくスケジュールに戸惑いを隠せない。さて、休日はどう過ごそうか。三連休を前にぼんやり考えたが、なかなか良いアイデアが出ない▼パソコンのデスクトップ上には依頼された講演のためのパワーポイントの資料が置いてある。めずらしく一週間以上前に完成し安堵していたところ、講演延期の知らせが届いた。いつものようにギリギリになってから作成すればよかった。そう思いつつ、頭の整理になったからと気持ちを切り替えた▼新聞という商売は、ネタを自分で作り出すわけではない。人に会い話を聞かないことには始まらない。取材の機会が減ればそれだけネタを得るチャンスを失うわけで、記者に人に会うなとは命令しずらい。しかし、今は感染拡大のリスクを抑えることを優先すべきとき。そのジレンマを解消するうまい方法がないものかしら。(20・2・25)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る