欲しい物があふれ、見て歩くだけでワクワクした気持ちになる。しかし百貨店は今、専門店などに客足を取られ、パンデミックにより好調だったインバウンド需要も消滅し、ネット販売の隆盛が追い打ちをかけている。かつて小売業界のピラミッドの頂点に君臨していた業態は苦しい戦いを強いられている▼小売最大手のセブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店そごう・西武を手放そうとしている。衰退の要因はさまざまだろうが、主因は大衆向けの量販型を追求したことで、他の業態と差別化できなくなってきたことだろうか。一方で古くから富裕層を中心とする得意先を数多く有する百貨店は、顧客の囲い込みを図るべく限定のネット販売作戦などを展開し善戦を続けている▼激変する時代の荒波は、容赦なく変革を強いる。この間、小売業界で利益を伸ばしてきたのはコンビニだが、そのコンビニでさえコロナ禍で収益減に直面している。化学業界もカーボンニュートラルという大潮流によって変革を迫られている。化学の力を信じチャンスととらえ試行錯誤するのか、何もせず衰退を待つのか▼木版、活版印刷、印刷機の進化とともに情報伝達の手段として発展してきた新聞も例外ではない。変化の荒波を脅威ととらえるのか好機ととらえるのか、分かれ目である。(22・3・7)

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