先週、来春卒業予定の学生を対象に大手企業などが内定式を開き、その様子がニュースとなった。今年は新型コロナの影響からオンラインで行ったり、各地やグループに分けて開催するなど「3密」を避ける対策を講じている。ここまでに至る会社説明会や面接もほぼすべてオンラインで行われたようで、学生は不安に感じていることだろう。「この会社を選んでよかったのか」「この会社のことを本当に理解したのか」と▼不安は一般的に良くないことと想定されがちだ。しかし人類は太古の昔から、不安を取り除くために知恵を絞り進化を遂げてきた。食糧となる動物を確実に仕留めるために道具を改良したり、飢えないために農耕を始めたり。不安を感じるからこそ悩み、最善を尽くそうとする。たとえ当初想定したことと異なった結果になっても、原因を知ることができ挽回する機会を得ることができる▼人生に不安は付きものだ。しかし不安に怯え何も行動を起こさなければ、太古の昔なら死に絶えてしまう。行動が未来を切り拓く。人生は山あり谷あり、いくつもの壁が立ちはだかる。失敗を繰り返し、苦労して乗り越えるからこそ眺める景色も格別なものになる、とミスチルの歌にもある▼企業も同じ。不確実性が高まっている時代にあって、何もしないことはリスクとなる。(20・10・5)

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