この2年の間、新型コロナウイルスに翻弄されて世界経済は先行きを見通すことがますます難しくなっている。年末時点の株価や為替などマーケットの指標を予想するクイズがあるが、とくに先が読みづらくなったのは原油価格ではないか▼2020年4月に原油先物であるWTIの5月物が史上初のマイナス価格となったことは記憶に新しい。需要が大幅に落ち込み在庫が膨らんだ結果、貯蔵能力の余力が乏しくなったため、代金を上乗せして売り渡すような事態になった▼それから2年近くたって、原油価格がこれだけ上昇すると予想した人はどれだけいるだろう。景気回復でエネルギー需要が盛り返した一方、産油国の増産は小幅にとどまり需給がタイトになっていることが要因の一つ。原油高はさまざまな製品の値上げにつながっている▼燃料価格の抑制に向けて国も動き出した。3月末までの期間限定で石油元売り各社に補助金を支給する。全国平均のガソリン価格が発動の条件となる1リットル当たり170円以上となったためだ▼石油連盟の会長会見では今後の市場に影響を与える材料としてオミクロン株の動向、2月2日開催のOPECプラス会合、ウクライナ情勢など地政学リスクの高まりの3点を指摘した。カーボンニュートラルの流れもあって不透明感は増すばかり。(22・1・28)

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