3月期決算発表がピークを迎えている。昨年前半はコロナによる需要低迷の影響を大きく受けたものの、後半になって自動車生産が回復し、半導体需要も好調を続けていることから関連製品を扱う企業は概ね好調なようだ。石化産業は市況の好転が収益を押し上げ、業績予想の上方修正も目立つ▼前回の3月期決算発表は、コロナの影響で開示日程が相次ぎ延期されるなど不安が先行し、決算説明会もオンライン方式が主流となった。今では当たり前になったこの形式も、いつもと勝手が違う場面に、発表する側、それを受けて報じる側とも試行錯誤だった▼決算発表と同時に毎回明示する業績予想についても、先行きが見通せないため明記しない企業が多かった。12月期決算の企業は、すでに表明していた通期業績予想を1~3月期決算発表時に相次ぎ取り下げた▼異様だった前回を考えると、この1年の重みを感じる。今回は今までのところ、ほとんどの企業が今期予想を明示している。慣れというか、1年経って、企業、社会が冷静かつ期待感を持って先を見通せるようになったのだろう▼今期はすでにスタートしており、通期業績には少なからずコロナの影響が残る。来年の発表時にはコロナ後を見据えた予想が打ち出せているのか、今から1年後に向け期待は膨らむばかりだ。(21・5・13)

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