日本のメダルラッシュに沸いた熱い夏のオリンピックが終わった。まだまだ暑い日が続き、あの世から戻ってきている先祖の霊もさぞ参っていることだろう。きょうはその先祖の霊を見送る送り盆の日▼先祖の霊があの世に戻るため道を照らす提灯は一般的だが、竹で作った小さな灯籠に火を点し川や海に流す灯籠流しを行う地方もある。灯籠流しは経験がないが、同じように灯籠を川に流すタイの祭りに参加したことがある▼11月の満月の夜、灯籠(クラトン)を川に流す(ロイ)ことで、農作物の収穫に感謝するロイクラトンだ。水の女神コンカーに感謝する祭りは、タイ全土で行われる。川面に無数の灯りが映し出される光景は美しい。バナナの葉で作られた蓮の花の形をした灯籠も南国情緒にあふれている。ただ近年は感謝というより神様へのお願いに趣旨が変わっているようだ▼先祖を供養する行事はタイにもある。そのお供え物が独特で、もち米やココナッツなどを用い12種類以上の料理や菓子を家庭で作るのが習わしとされている。ただ近年はフライドチキンやピザを買ってきてお供えする家庭が増えているという▼日本のスーパーでも、お盆のお供えセットをよく見かけるようになった。手軽で便利ではある。ただ先祖に感謝する心だけは変わらずにいたい。(21・8・16)

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