先の土曜日、国際化学オリンピック2021年日本大会(リモート大会)のプレイベントとして「化学との出会い 未来を拓く君たちへ」という講演会がオンライン開催された。化学オリンピック日本委員会の玉尾皓平理事長の「一家に一枚周期表」関連の基調講演や、オリジナル分子のデザイン、化学と未来の医療に関する講演などが行われた。その講演の間にセットされたオリンピック元日本代表経験談も興味深かった▼東大修士課程の正田浩一朗さん、カリフォルニア大バークレー校博士課程の森田峻平さん、早大博士課程の浦谷浩輝さんが登場。3人とも銀メダルの受賞者で、うち2人は2度の受賞。各自印象に残ったことを挙げたが、共通していたのは同年代との交流。そして、化学を学んでいる同年代が世界にはたくさんいることを“実感”できたことがその後に資する収穫だったという▼視聴側としては、「オリンピックの経験がなかったら、研究の世界で世界と勝負しようという勇気を持ち得たかどうか分からない」という浦谷さんの発言が印象に強かった。「会ったこともない世界中の科学者たちが仲間であるサイエンスはロマンチック」という森田さんの言葉もクールだった▼化学というサイエンスに情熱を注ぐ若者のかっこよさ。久しぶりにしびれるような体験だった。(21・3・17)

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