まだ6月だというのに、各地で猛暑日が続く日本。南国のビーチを歩いているかのような強い日差しと吹き抜ける風は、夏が大好きという人には決して悪い事態ではない。景気への影響という面でも、普段ならむしろ歓迎すべきお天気だ。しかし、今このタイミングでそれが起こるとちょっとマズイ、という事情をこの国は抱えている▼そう、電力需給の逼迫問題である。夏が暑いとヤバイ、ということで5月に新設された電力の需給逼迫注意報が、早くも発令された。エアコンを使いながら賢く節電してくださいと、言いわけのようなアナウンスをする政府。エネルギーという根幹のインフラさえ計画的に準備できない国家に対し、国民の不満は高まっている▼備えあれば憂いなし。確かにその通りである。反論できない。同時に、何事も実際に直面しなければ実感できず、怠りがちなのも人間の性である。小紙も今月、あわや休刊の危機という事態に直面した。この結果、システムの脆弱性を痛感し、反省したからこそ、改善に向け動き出すことができた▼したがって、危機は改善のためのチャンスとも言えよう。国民は大いに怒りを表明して、政府を動かすときだ。政府は世論を受け止めて、これまで口ごもり気味だったエネルギー政策をきちんと国民に説明し、一刻も早く実行に移すときだ。(22・6・28)

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