あるラジオの情報番組が警視庁のツイッターへの投稿が話題になったことを紹介した。ラジオを聞いたことがない小学生の娘と一緒に放送を聞いたら、娘は何を言っているのか聞き取れなかったとのこと。そんなことがあるのかと思わず我が耳を疑った▼しかし、今はパソコンやスマホが普及して、情報の入手は圧倒的に視覚経由の時代になったのだと思い直した。テレビもバラエティをはじめテロップだらけ。そのような生活環境では音声だけを発信するラジオに拒否反応を示しても不思議はない▼20歳前後の若い世代の「聞く力」が落ちているとの指摘もあるようだ。映像や文字といった見えるものに依存しすぎ、他人の声や言葉に触れる機会が減っていることが原因で、コミュニケーション能力への影響も懸念されるという▼そういえば、現在の総理大臣は就任時、「聞く力」をアピールしていた。頑なな対応が目立った前任者との違いを強調したかったのだろう。ただ、政治家は自らのビジョンを打ち出し実行することが仕事。そのためには語る力も問われる▼記者も「聞く力」が大切なのは言うまでもない。それは相手からネタや本音を引き出す、いわゆる聞き上手になるということか。しかし、昨今のリモート取材では難しくなったと感じる。むしろ若手の方が得意かもしれない。(22・6・3)

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