最近、メジャーリーグで“不文律”を巡る話題があった。レンジャーズ-パドレス戦での出来事。試合は7回を終わって10対3とパドレスが大量リード。8回表、満塁の場面でパドレスの若手選手がカウント3-0からホームランを放ったというものだ▼次打者への危険球が故意とみなされ、レンジャーズの投手と監督に出場停止処分が下された。不文律を破ったことに対する報復行為とみなされた。この監督は球界には明記されていないルールが存在し、7点差の3-0から打つことは個人的に好きではないとコメントした▼長い歴史を持つメジャーリーグではさまざま不文律があるようだ。相手を尊重するスポーツマンシップに則ったものが多いとされるが、面子をつぶさないことも含まれる▼その一方、打ちごろの球をあえて見逃すことは、どんな時でも全力プレーをすべきというスポーツマンシップに逆らうことにならないか。そもそも点差が開くのは点を取られる方に問題があるような気がする。球界ではホームランを打った若手選手を擁護する声が多く上がっている▼時代が移れば人の気持ちも変わる。不文律は人の心を映す鏡でもあるようだ。今回のコロナ禍では3密を避けるなどのルールだけでなく、新たな不文律が生まれていることに若干の息苦しさを感じている。(20・8・28)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る