「大学時代、もっと勉強しておけば良かった」とは誰もが思うこと。では何故、しっかり勉強しなかったのか。端的に言えば、必要に迫られなかったからだろう。勉強はそこそこ、だけど就活を一生懸命やって「良い会社」に就職できれば「目的達成」、幸福な人生は保証されるという共同幻想のもとにあるからではないか▼ただ、これは日本の特殊事情。アメリカの大学ではこのような現実はないのはよく知られる。猛勉強しないと大学を卒業できないし、良い企業にも就職できない。このため良い成績をくれない教官への異議申し立てがあり、問題が高じると訴訟にまで発展することがあるというから、彼我の差は大きい▼だから日本の場合、仕事現場で知識不足を痛感し、「知」の必要に迫られると、もっと勉強しておけば良かったとなるわけだ。ならば、もう一度勉強しよう。仕事上の理由で「知」の必要を感じているのなら、明確な目的なく学ぶのとは学習意欲には雲泥の差が生まれるだろう▼弊社主催の産業安全フォーラムで、デンカの役員が語っている言葉が印象的だ。製造現場の管理職など“今そこに立たされている人”は、産業安全の体系的な知識を「必死になって勉強するだろう」。学び直しの「リカレント教育」が求められるのは、もちろん産業安全だけではない。(20・11・11)

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