日本に大学発ベンチャーはどのくらいあるのだろうか。経済産業省の最新調査では2019年9月時点で2566社。前年比288社増で過去最高の伸びとなった。6000社以上とされる米国には及ばないが、起業マインドは着実に高まっている▼業種別では、バイオ・ヘルスケア・医療機器分野(768社)、アプリケーション・ソフトウエアのIT分野(738社)が多く、増加傾向が続いている。化学・素材など自然科学分野は217社で横ばい推移▼今回の調査で焦点を当てているのが“チームビルディング”。アンケートによる成長要因の分析では「ヒト・モノ・カネ」をうまく回すことはもちろんだが、そのなかでも人材関連の項目が多くみられ、事業ステージによって適切なチームを組むことが重要と指摘する▼初期ステージは大学とのつながりを利用しながら技術に重点を置けばよいが、事業化の壁を乗り越えるには多角的な視点が求められる。ベンチャーの出口戦略によるが、ビジネス経験を持った人材の確保など企業とのつながりも成長要因の一つとなっている▼今後、気がかりなのが「カネ」。コロナ禍の影響で経済活動が縮小すれば、企業などからの資金供給に影響が出てくるかもしれない。イノベーション創出の担い手にも支援策の強化が必要であろう。(20・5・29)

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