先週、東ソーの次期社長に桒田守氏が就任する会見があった。桒田氏は「過去最高益でバトンを引き継ぐことに重責を感じている。業績は非常に良い。しかしカーボンニュートラル(CN)という大きな波が来る。『天気晴朗なれども波高し』の心境だ」と語った▼天気晴朗なれども波高し-。1905年の日露戦争でロシアのバルチック艦隊に対峙した際、日本の連合艦隊は日本海の気象情報を緻密に読み、周到に準備し合理的に作戦を遂行したことが勝因となった。波が高いと船が揺れ命中率が落ちる。バルチック艦隊の巨砲は威力は大きいが、次の発射に時間がかかる。日本は手数の多い速射砲を駆使し、命中率低下を食い止め撃破した▼東ソーの主力工場、南陽事業所の競争力の源泉は石炭火力発電。しかしCNの潮流で逆風に晒される。桒田氏は「CNは生き残りを賭けた課題。全力で取り組む」と決意を示す。周到に作戦を準備し合理的に遂行することが欠かせない。どう逆風を打ち破るか注目される▼きょうは北方領土の日。168年前、日露和親条約で北方領土が日本の領土と認められたが、第2次大戦後、ロシアは占拠を続けている。いま世界は、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性で緊迫化している。世界は最悪の事態を回避する努力を怠ってはならない。(22・2・7)

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