鉄道やバスで目的の場所に時間内または早く到着することを競うテレビ番組をたまに観る。ちょうどいい乗り継ぎ時間の便があるかどうかに一喜一憂したり、発車時刻に間に合わせるため急ぐ出演者の姿をみていると、つい応援したくなる。一方、ラストといえば時間ギリギリの到着や僅差で勝敗が付くのが落ちで、如何にもと言いたくなる▼そういう結果を想定してコースを選ぶスタッフの努力がうかがえる。ただ、この手の番組には誰がみても体力に自信がありそうな人やスポーツ選手は余り出てこない。普通の人や少し運動不足気味だと思われる人達が頑張ってゴールを目指す過程でドラマが生まれてくる▼演出ではなくても、人間は最後ギリギリになるものだ。もちろん、時間が許す限り粘りたい気持ちもあるだろうが、ここまでは大丈夫と勝手に決めて、つい先延ばしにしてしまう。編集職場で長年、原稿締め切り時間と戦ってきた立場から、如何にもそれは実証できる▼ワクチンをかけたことは一目瞭然、こちらも如何にもだろう。若年層への接種を促す対策として「イベントワクワク割」が検討されている。コロナ対策もラストスパートと思いたいが、前回のGoToは逆に感染を拡大させてしまった感がある。誰しもが不安に思う如何にもな結末だけは勘弁してほしい。(22・4・13)

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