立春を過ぎて暦の上では春になったが、日本海側を中心に寒い日は当面続きそうだ。1月は厳しい寒波による電力需給のひっ迫がニュースで度々取り上げられた。暖房需要の増加が電力消費量を押し上げただけでなく、火力発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)在庫が減少したことが原因とされる▼LNGの輸入が始まったのは1969年(昭和44年)で、その当時はアラスカ産だった。以来、石油に続く一次エネルギー源として消費拡大が続き、年間8000万トン前後に達している。世界で最も多くのLNGを輸入しているのは日本だ▼北東アジア向けの1月LNGスポット価格は一時、100万BTU(英国熱量単位)当たり30ドルを突破、異例の高値となった。中国や韓国でも暖房需要が増加したのに加え、世界各地でLNG供給設備のトラブルが相次ぐなど複数の要因が重なった▼LNGはCO2排出量が少ない燃料として、しばらくは火力発電を支えていく。そうだとすれば安定的な調達網構築に向けた議論が必要だろう▼ただ、再生可能エネルギーの導入次第で需要変動は避けられない。エネルギー分野に限らず日本は2次電池に使うレアメタルなど多くの資源を輸入に依存している。地政学的なリスクにとどまらず、技術革新にも目を配ることが求められている。 (21・2・5)

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