暗いニュースが続いている。せっかくの人生、たくましく生きるべきだと言いたい。しかし、どうしても行き詰まったり、苦しくなったりするときはある。そんなときどうするか。ある知人が教えてくれた。赤ちゃんを見ろと▼赤ちゃんは不快な状態になると泣く。不快な状態から一刻も早く抜け出すため、大声で泣き、周りに訴える。何がそれほどイヤなのか分からないことも多い。もともと人は、これほどに不快さが苦手なのだと思い知る▼成長して自分で自由に動けるようになると、人は泣く代わりに嫌いなもの不快なものを遠ざけ、逃避するようになる。不快な状態から一刻も早く抜け出したいと願うのは赤ちゃんと同じだ。だが、毎日する仕事や会う人が不快になると、具合が悪い▼赤ちゃんは教えてくれる。さっきあれほど泣いてたのにもう笑っている。ひとたび不快さを脱すれば、人はまた、これほど幸せそうに笑うことができるのだと。そして赤ちゃんには、泣くことで他人に不快な状態を取り除かせるという問題解決能力がある。だから行き詰まることなく、たくましく生きていける▼苦しいときは、さっきまで泣いていた赤ちゃんを思い出すことにしよう。人は弱いが立ち直るのも早いのだ。花ちゃんも最終回で直樹に言った。「生きていればなんとかなるよ」。(20・9・29)

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