コロナの影響で想定と異なったことは多い。三密回避から各種のイベントは中止となり、お盆休み期間中の国内外の移動も例年に比べてかなり減った。子供達の夏休みは授業日数確保から大幅に短縮され、今週から多くの学校で2学期が始まっている。いつもと違う夏を実感する▼想定と違ったものの一つがキャッシュレス決済だろう。普及している海外の観光客が増える東京五輪・パラリンピックでは、消費機会を逃さないためにもキャッシュレス決済は必要だ。1年延期が決まる前までは、昨年10月の消費税率引き上げに伴って実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業が6月末で終わっても、今度はおう盛なインバウンド需要が消費を牽引するはずだった▼2016年に20%だったキャッシュレス決済の比率は19年に26・8%に高まったが、諸外国に比べると差は歴然だ。コロナ禍で経営状態が厳しい事業者は多い。確かにキャッシュレス決済は密を避ける絶好の手段だが、これから導入するとなれば負担は大きい▼次の夏は五輪・パラリンピックが予定通り開かれ、先送りになったあらゆるものが想定通りに進むことを願いたいものだ。新たな生活様式を探る中で、政府が掲げる25年にキャッシュレス決済比率40%、将来的には80%という目標も現実味を帯びてこよう。(20・8・20)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る