黒い雨を降らせ、多くの犠牲者を出した出来事からきょうで75年。援護対象区域外にいた健康被害者による訴訟は、広島地裁が被爆者と認める判決を下した。結果的に国の被害地域の線引きの不適切さ、援護行政のあり方が問われる。訴訟の始まりは5年前だが、そこに至る被害者の立場を考えれば言葉もない▼現在もコロナとの戦後類を見ない戦いが続く。ここでも営業自粛要請が続いた飲食店に対する支援策の遅れが指摘されている。ここにきての第2波とも言うべき感染者の拡大は、地方も含めて第1波を上回る勢いをみせている。地方に任せきりの対応では全国規模で不安の声が高まるばかりだ▼令和2年7月豪雨の被災世帯への支援もままならない。企業の支援も相次ぐが、移動制限の中で全国からのボランティアも限度がある。関東甲信地方は13年ぶりに8月の梅雨明けとなったが、早くも来週からはお盆休みの企業が多い。地方も感染者拡大防止に向けて来県自粛要請を出したりと封じ込めに躍起だ▼Go・Toトラベルキャンペーンは続いているが、国民自身の判断で出足は抑えられそうだ。このままいけば、コロナは時間が解決してくれる問題ではなくなる。数十年後も支援策の不備が指摘され、さまざまな問題が長引いていないように全精力を注いでもらいたい。(20・8・6)

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