昨年の1月15日、日本で新型コロナウイルスの最初の患者が確認された。武漢市に滞在歴がある男性だった。これを伝えた厚生労働省のニュースリリースには「国民の皆様へのメッセージ」がつけられていた▼それによると、現時点におけるリスク評価は家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない事例が報告されているものの、持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はないとしている。後から言っても仕方がないが、早い時期に強い警戒を呼びかけてもよかったのではという思いがよぎる▼それから早くも1年がたつが、新型コロナに翻弄される日々が続いている。1都3県に出された2度目の緊急事態宣言は大阪など7府県に拡大。経済への影響をできるだけ抑えたいのは分かるが、後手に回ってずるずる追加することになりはしないか▼事の重大性は認識しているものの、一度緩めてしまった緊張感を再び元に戻すのはなかなか難しい。居酒屋は午後8時で閉店してしまうが、それなら8時までは飲めると思うようになる▼世界でみれば100人に1人以上の割合で感染者が出るようになってしまった。残念ながら一気に収束するような魔法はない。誰もが感染する可能性があるからこそ、一人ひとりが感染予防対策を徹底するしかないのだろう。(21・1・15)

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