小中学校の新学期が今週、自治体によって異なるものの8日までにほぼスタートする。臨時休校から始まった昨年を考えれば、例年通りのスケジュールに安堵する。この1年で学校も感染対策を徹底し、子供達にもその意識が根付いたことの賜物だろう▼思い起こせば昨年は9月入学が話題になった。きっかけは、休校が長引いて次の年の受験に不安を募らせた高校3年生がネットで署名を呼びかけ始めたこと。その後、全国知事会で多くの支持を集め、当時の安倍晋三首相も「前広に検討する」との姿勢をみせたことから注目を集めた▼とはいえ明治時代の日本の大学は欧州に倣って秋入学だった。それが大正時代、徴兵検査対象者への通知が春だったことで4月になったとも。戦後は9月入学に向けた議論が幾度となく持ち上がっては消えた。昨年も文科大臣の「導入を急いで結論づけない」との発言で事実上、お蔵入りとなった。財政的、作業的なことを考えれば負担が大きいのは分かる▼「こども庁」新設への動きも出てきた。各省庁にまたがる対策を一つにまとめようというもので、各種支援策も分かりやすく利用しやすい組織を目指す。少子高齢化社会を迎え、将来を担う子供達は貴重な財産だ。大人の事情ではなく子供達にとってどういう形が一番いいのか、真剣に考えたい。(21・4・8)

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