(1)腹切り、両流れ、泣き別れ、(2)横並び、しりもち、お墓。(1)(2)ともに、日本の新聞編集における「やってはいけない」タブー事項である。(1)はレイアウト、(2)は見出しに関する。専門家でもない限り、なんのことか見当はつかないだろう▼(1)(2)それぞれ説明しやすい例をあげてみる。「腹切り」は、段と段の間を右から左まで真っ直ぐに分断してしまうレイアウト。見出しや写真で塀を作ってそれを防がなければならない。ただ、なぜダメなのかを論理的に説明できる人には出会ったことがない。現在、この御法度は無視されがちで、むしろ積極的に腹を切るレイアウトが行われている感もある。「ブロック組み」の台頭と関係があるだろう▼次に、見出しのタブー「お墓」。これは想像がつくだろう。墓と同じように、文の中に漢字しか使われていない見出し。見出しは10文字程度が基本だが、10個も漢字が続けば読みにくい。漢字かな(カナ)混淆文がやはり読みやすい。ちなみに横並び、しりもちは見出しのタブーとはいえ、見出し配置に関するので、レイアウトのタブーともいえる▼これら禁忌にがんじがらめにされながら、しかも締め切り迫る中で一枚の紙面を組み上げる苦労は、おそらくやったことのある者にしか分からないだろう。整理記者という人々の仕事である。(22・3・23)

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