プロ野球の日本シリーズが開幕した。ヤクルト対オリックスの対決は26年ぶり。当時は野村ID野球と仰木マジックの監督采配が注目されたが、結果はヤクルトに軍配が上がった。弱点が見つからないイチロー選手に対し、内角高めを意識させる心理戦で封じることに成功したのが勝因の1つだった。今回は当時、抑え投手だった高津監督と正捕手だった中嶋監督の因縁の対決だ▼第1戦、第2戦とも先発投手が好投し、ヒリヒリする展開が続いた。とくに第1戦のヤクルト奥川投手と第2戦のオリックス宮城投手は高卒2年目ながら、堂々としたピッチング。宮城投手は6回途中までパーフェクトだったが、8回に1失点し黒星投手となった。落合博満氏が「よく投げたが、1失点だろうが10失点だろうが黒星は黒星」と解説していたのが印象的だ▼新聞記者はよくスポーツ選手に例えられる。経験の少ない若手であっても1面トップを連発する記者もいる。もちろんトップ記事が全てではない。色んな記者がいるから多様な紙面になるのだが、野球選手と同様、チームの勝利に貢献する意識と行動が求められる。結果として黒星を喫する日があるとしても▼どんな職業も結果が求められる厳しい世界だ。しかしそこで、もがくからこそドラマが生まれ、明日の勝利につながるのである。(21・11・24)

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