今月15日は暑中見舞いの日だった。とはいっても、昭和25年のこの日、郵便局で初めて暑中見舞いはがきが発売されたことにちなんだ。実際に暑中見舞いを出すのは梅雨明けから立秋の前日までが習わし。今年の立秋は8月7日。この日を過ぎると暑中から残暑に変わり、今度は残暑見舞いの時期になる▼もともと暑中見舞いは、夏の暑い盛りに知人や友人といった大切な人を訪問したり、遠方にいる場合は手紙を出して様子を伺うこと。この習慣も郵便制度が発達していくにつれ、近くだろうが遠方だろうが手紙やはがきでのあいさつが一般化していった▼季節のあいさつ状にはほかに年賀状、寒中見舞い、余寒見舞いなどがある。四季のある国で育ち、義理人情を重んじ真面目な日本人は、季節の変化を楽しむあいさつや、天候や気温の変化に応じて体調を気遣うあいさつ状を送る風習が根付いた。だが、今はメールやSNSの普及もあり、あいさつ状自体が減っている▼先週、梅雨のない北海道を除く日本列島全域が梅雨入りした。一般的にはあまり知られていないが、梅雨見舞いというのもある。「紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘」(正岡子規)。日々色を移ろわせているアジサイのように、みずみずしさが増す草木花に触れて、憂鬱なこの時期を晴れ晴れと乗り切るとしよう。(22・6・22)

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