NHKで朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』が始まった。主人公の比嘉暢子は「幼いころからのんきでマイペースだが、いさぎよくまっすぐで喜怒哀楽のはっきりした性格。運動が大の得意」と紹介されている。元気いっぱいなその姿は、このシリーズが描くヒロインの典型といえる▼しかし、60年以上のその歴史において、画期的といえるのではないかと思うシーンがあった。父親が家族に料理を振る舞ったのである。かねがね気になっていた。女性だけが給仕をするシーンは日本のドラマでは珍しくない。それが、「家事は女性がやるのが当たり前」との認識を再生産してはいないだろうか▼英国の広告基準局は2019年に性別にもとづく有害なステレオタイプを使った広告を禁止した。例として、男性がソファでくつろぎ、家族が家を散らかし、女性だけがその後始末を引き受ける姿を描いた広告をあげている▼子供も見る「ディズニーチャンネル」などで放映される米国制作のドラマを注意深くみると、女性が家事をするシーンは出てこない。『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』の家は父子家庭、『ガール・ミーツ・ワールド』の主人公の母親は弁護士で忙しい▼これは世界的な潮流だ。いずれ、のび太君のママは仕事を持ち、ノリスケさんは育休を取る。(22・4・21)

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