真夏の太陽は、元気で熱く、うるさいおじさんに似ている。できるだけ遠ざけ、見えない場所に逃げ込みたい。しかし、夏が過ぎ季節が移るとなぜか恋しくなる。8月も下旬を迎え、昼下がりにツクツクボウシの鳴き声が聞こえる頃になると、そんなことを毎年考える▼日本では、真っ赤に燃えてる太陽という表現がよく使われる。しかし、2つの間違いを犯している、まず、太陽は赤くない。日の丸の国旗があの意匠なので仕方ないのだが、本当は白と黄色の間くらいの色だ。そして、太陽は燃えているように見えるが実は燃えていない。膨大な光と熱の正体は核融合反応だ▼核融合は、軽い原子がくっついて重い原子に変わる反応だ。太陽では水素がくっついてヘリウムになっている。反対に、重い原子が軽い原子に分裂するのが核分裂だ。核融合は、核分裂に比べても約3倍も大きなエネルギーを発生する。しかも材料の水素が無尽蔵なので夢のエネルギーとして開発が進められている。地球に小さな人工の太陽を作ろうというわけだ▼核融合を実用化するには、プラズマの制御という難しい挑戦が残されている。しかし、エネルギー問題が人類の課題となっている昨今、開発のスピードは加速している。早ければ2050年頃にも、人工の熱いおじさん登場、となるかも。(22・8・23)

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