物事というのは、下馬評通りになることもあるが、丸っきり正反対の結果に終わることもある。途中で前提条件が変わり逆風に晒されることもあれば、思わぬ好機が巡ってきたりもする。未来を正確に予測するのは不可能であり、神のみぞ知る世界だ▼とりわけ現代は不確実性や複雑性に満ちており、目標や計画を立てても、その通りに進まないことが少なくない。かといって萎縮し、その場限りの対処に終始していては、危機も好機も見誤る。人生も企業も目的意識を明確にし、逆風に晒されて時に横道に逸れたとしても、目の前の事象に臨機応変に対処しながら、目的やゴールを目指し歩みを進めるほかない▼下馬評では最下位を予想する人が多かったヤクルトが、首位争いを繰り広げている。補強した外国人選手2人によって攻撃力に厚みが増したこと、最大の課題である投手も若手リリーフ陣などが台頭しつつあることが背景にある。6年前も2年連続最下位からリーグ優勝を果たした。残り30試合を切り、ゴールを目指し負けられない戦いが続く▼白熱するのは自民党総裁選も同じ。4人の争いとなった今回は混戦となっている。果たして下馬評通りの結果となるのか、はたまた番狂わせがあるのか。誰が選ばれたとしても、目的やゴールを見失ってはならない。(21・9・27)

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