小社の東京本社ビルはプラザ合意の年である1985年7月に竣工した。バブル経済が始まったのはその翌年だ。以降、日本橋浜町という地から東京の栄枯盛衰を眺めつつ、年を重ねて間もなく築37年となる。外見はともかく、内部はだいぶくたびれてきており、ここ数年あちこちリフォームしている▼竣工当時、近隣には民家や個人商店も多く、風呂屋もあるなど下町情緒溢れる街だった。その後再開発が進み、高層ビルが次々と建った。とくに増えたのは小型のマンションだ。非常階段から箱崎インターチェンジにほど近い首都高速道路の往来と、いくつものマンションが見える。毎日、何度も非常階段に通っているので、同じ景色を繰り返し見ることになる▼昨年の11月から、見えるなかで一番古いと思われるビルの解体工事が始まった。高速道路のすぐ隣に建っているので、思い切った解体の手段がとれないのだろうか、人がドリルでコンクリートを削って解体している。今年5月末までと聞いていた工事は、まだ半分程度しか進んでいない▼今日は、北半球で昼間の時間が最も長くなる夏至。このペースだと、解体が終了するのは冬至の頃となりそうだ。幸い、小社のビルは耐震構造に問題はないのでまだ大丈夫。いま暫く、日本の行く末を見守っていて欲しい。(22・6・21)

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