漢字の読み方を解いて並べていくクロスワードパズルに挑戦していたら「泡沫」でつまずいた。当然、「ほうまつ」だと思ったら、うまくつながらない。調べると「うたかた」という読み方があった。水面に浮かぶ泡、はかなく消えやすいものの例え▼世界経済はバブル(泡)の発生と崩壊を繰り返してきた。世界最古の株式バブルが1720年にイギリスで起きた南海泡沫事件。南海会社は国の財政危機を救うために設立された貿易特権会社。本業はうまくいかなかったが、自社株を市場価格で国債と交換する計画を打ち出した▼これが成功して利益が高まり南海会社の株価は急上昇、半年で約10倍に高騰した。後追いする素性が分からない株式会社がいくつも作られ、投資家のみならず中産階級の人々が投資に走った▼しかし、おいしい話はいつまでも続かない。政府が規制に乗り出したのを契機として株価は暴落し多くの破産者、自殺者を生むことになった。天才科学者ニュートンも株に手を出し莫大な損失を被った。「天体の動きは計算できるが、人々の狂った行動は計算できない」と言ったとか▼現在に戻ると、コロナ禍で経済活動は停滞気味なのに米国をはじめ株式市場は絶好調のようだ。「バブルは崩壊して初めてバブルと分かる」という名言があるようだが、今回は果たして。(21・3・19)

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