平年より一足早く桜が咲き始め、東京は満開のシーズンに入った。冬のコートがないと辛い日もあるが、日差しは確実に春の訪れを告げている。卒業式がピークを迎え、通勤時や取材で外出した時に袴を着た学生をよく見かけるのも、この季節ならでは。わが編集局にも4月から新卒の新人記者が加わる。伝統に縛られることなく、新たな発想で果敢に挑戦してほしい▼どんな仕事も成就するまでに相応の時間が掛かるが、掛かる時間は人それぞれだ。桃栗三年柿八年。ただ駆け出し記者の頃、上司に「記者にゴールはないぞ」と言われ続け、今もそう思っている。記事に正解はない。もっと良い記事にできたはずと思う連続だ。梨十八年記者一生である▼剣道を習っていた頃、守破離という言葉を教えられた。まず基本を学ぶ守、学んだことを工夫して既存の型を壊す破、独自の境地を切り拓く離。記者は守破離をぐるぐると永遠に回っている感じか。いや、記者だけではないはずだ。どんな職業も同様ではないだろうか▼旭化成の工藤幸四郎次期社長に取材した。2つある座右の銘の1つが「不易流行」という。解釈には諸説あるが、新しさを絶えず求め変化する流行にこそ、永遠に変わらない不易の本質がある。奥が深い。新人記者の研修に使いたいが、伝えられるかどうか。(22・3・28)

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