師走も8日の事納めが過ぎると、いよいよ慌ただしさを増す。このあたりから正月の準備を始める時期でもあるらしい。師走といえば、普段落ち着いている僧侶でさえ飛び回るぐらい忙しい時期というのが一般的な捉え方だろう▼日本書紀では「十有二月」、万葉集では「十二月」と書いて「しはす」と詠んだというから、前述の説は疑問にも思えてくる。しかし、昔は正月前の時期に、お盆と同じように祖先の霊を祀る習慣があったというから納得できる▼師走には計画していたことを成し遂げ、そして来年につなげよう。そう思えば思うほど何も手が付かないのは、毎年の反省が生かされていない証拠だろう。目標を持つなとは、法事でのお坊さんの説法。プレッシャーから心身に異常を来すからだ。真面目な日本人はなおさらである▼1年の目標を立てている人は、暮れも押し迫り落ち着かない日々が続いているだろう。ゲーテ曰く、「焦りは過ちを増し、後悔は新しい後悔をつくる」。諦めるのも悔しいが、後々後悔はしたくない▼本紙も年末に向けて今年を振り返る記事が多くなる。ただ、毎日の紙面から今年の主要なニュースを拾い上げる毎年恒例の企画に着手はしたものの、なかなか進まない。早くから取り組めば良かったと思うが後の祭り。焦らず、コツコツやるしかない。(21・12・9)

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