大阪に出張した。コロナ禍で昨年は一度も出張がなかったので、約2年ぶりの出張だ。大阪に着き、支社の先輩が昼飯にうどん屋へ連れて行ってくれた。1000円札1枚では食べられない高級店だが、店の前は行列。その後、一服を兼ねて喫茶店に行くと、食後のコーヒー付きカレーライスが550円。「前は500円だったが、高うなったな」と先輩。価値とは不思議なものである▼ある商社に取材した。商社マン曰く「モノを仕入れて売る従来の商社モデルでは付加価値を取れない時代。末端の市場や消費者から価値観が発信される時代にあって、より川下で付加価値を取らないと生き残れない」と危機感を強調する▼価値とは何か。辞書には、物事の持つ重要な性質や役に立つ程度とあるが、分かるようで分かりにくい。運転免許を取れる年齢になった甥っ子に、車は何にするのと聞くと「何でもいい。車は走れば十分じゃん」との返答▼ニュースでは日々、世界の権力者が映し出され、○○主義対○○主義といった対立軸が報道されている。うどんや車に対する価値観は人それぞれ。だからこそ多様なビジネスが生まれる。国の価値観も色々あっていい。しかし人類は、価値観の対立を先鋭化しすぎたとき、恐ろしい戦争を繰り返してきたことを忘れてはならない。(21・11・29)

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