京セラ創業者の稲盛和夫氏は「人生や仕事の結果は、考え方と能力と熱意の掛け算で決まる」と言っている。このうち考え方というのは生きる姿勢や誠実さと言い換えられ、唯一マイナスがある。このため能力と熱意が優れていても、考え方次第で結果は180度変わる▼4つ目の要素として運もあるのではと思うのだが、いずれにしてもこの3つを英語にすると、インテグリティ(誠実)、ケイパビリティ(能力)、エンスージアズム(熱意)で、頭文字は「ICE」となる▼4年に一度の冬の祭典が閉幕した。昨年の夏の祭典に続いて日本選手はメダルラッシュに湧き、多くの勇気を届けてくれた。一瞬の勝負は時の運も左右する。メダルに届かなかった選手も、誠実な姿勢が大いなる感動をもたらしてくれた。心から拍手を送りたい▼光にスポットが当たる一方、一つの影が全体を覆った大会でもあった。最高難度のジャンプだけでなく、つなぎの滑らかさ、BGMと一体化した表情など、全てが最高レベルであるにもかかわらず、薬物問題が結果を180度変えてしまった▼選手個人や家族なのか、コーチやドクターなどチームなのか、はたまた国なのか、問題の根源はいぜん闇の中だ。いずれにしろ真のスポットライトを再び浴びるには、誠実さを取り戻すしかない。(22・2・21)

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