亡くなった父の後を継ぐため、40歳で政治家になろうとした英国人のスタンリー・ボールドウィンは、周囲に遅すぎると揶揄された。人間、志をたてるのに遅すぎるということはない。そのとき放った有名な言葉がこれだ。彼はその後、3度にわたり英国の首相を務めた▼今の自分の考え方や知識はそのままに、若い頃、子供の頃に戻って人生をやり直せたら。人はときどきそんなことを夢想し、昔の自分を呪ったりする。残念ながら時間は後戻りしないし、人生をやり直すこともできない。後戻りできないなら、今から始めるしかない▼人生100年時代に突入し、社会人が仕事で必要な知識やスキルを学び直すリカレント教育(学び直し)が注目されている。世界的にも高齢化のスピードが速い日本では必須の国策とされ、さまざまな補助制度を設けるなど国を挙げて注力している。日々技術革新が起こり、めまぐるしく社会が変化するいま、学び直しは避けて通れない課題かもしれない▼学生の頃、やる気が起こらなかったような苦手な科目も、学び直してみると意外におもしろいと感じるから不思議だ。大きな声では言えないが、例えば化学はそうだ。しかし、どうしても苦手なものもある。加重平均資本コスト(WACC)の公式を見ると頭が痛くなるのは筆者だけだろうか。(22・1・18)

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