あすで2019年度が終わり明後日から新年度。例年この時期、巷は活気に溢れる。学校なら新入生迎え入れの準備。職場でも年度替わりに合わせた組織改編や人事異動がある。慌ただしく気忙しい半面、明るい雰囲気が漂うのが常だ▼今年の年度替わりは重苦しいムードに包まれる。この土日、東京都と隣接県は不要不急の外出自粛を要請した。遠方の自治体も東京への移動を控えるよう求めた。状況いかんだが、しばらくはこの対策が維持される様相だ▼小池東京都知事が会見で最初に要請を表明したのは25日夜。翌朝にはスーパー、ドラッグストアに開店前から買い物客が殺到、長蛇の列をなした。知事の情報発信は言葉足らず。危機意識に駆られ買い溜めに走る消費者心理への配慮を欠いた結果である▼米も水も保存食品も十分な供給余力がある。店側がそう説明しても顧客は「一応念のために」。つい先日のトイレ紙騒動が再現された。そのトイレ紙もまた買い溜め対象に加えられ、売り場が空になる悪循環▼さて、世界的に社会が混乱し先行きへの不安が渦巻く中で迎える新年度。入社式は大方の企業がネット配信で実施する。各社の経営トップはここでどんなメッセージを発信するのか。映像越しに受け止める新入社員のみならず、社内外からの注目度は例年以上に高いはずだ。(20・3・30)

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