人間の脳は都合よくできている。新型コロナウイルスの感染が広がり半年以上。マスクの着用は当たり前になっているが、マスクを着けている女性が美人に見えたり、男性もハンサムに見える効果が確実にある。目しか露出していないため、鼻や口、さらにはシミやシワが隠され、小顔効果も発現し美男美女と脳が勝手に判断してしまう▼空間補完効果という錯覚の一つで、マスクだけでなくサングラスを掛けていると格好よく見えるのもこの効果だろう。空間補完効果だけでなく、脳はかなりの頻度で錯覚を起こす。たとえば海底を走る高速道路。トンネル入口から下り坂で潜り始めるが、しばらくすると上り坂のような錯覚に陥ることがある。上りや下りを正面から見ると勾配が分かりにくく、しばしば渋滞や事故につながる▼碁石は白い方が黒より少し小さい。白は膨張して見えるので、同じ大きさだと大きく見えるため。碁盤の線も、やはり錯覚があるため縦が横よりも若干長いそうだ。迷惑駐輪を減らすため、歩道に花壇が浮かび上がって見えるトリックアートの試みなど錯覚を利用した事例も少なくない▼コロナ後、どのような新しい社会が到来するのか。化学産業は新しい社会にどう貢献できるのか。メディアとして錯覚に陥ることなく、本質を報道しなければなるまい。（２０・８・３１）
食品値上げ「第三波」
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