ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は11月の第3木曜日。発売が近づくとニュース番組などでフランスから到着した航空便から貨物が下ろされる映像がよく流される。この空輸にかかるコストが馬鹿にならず、現地に比べて値段が大幅に高くなる理由の一つ▼今年は陸路経由で輸入する取り組みが行われている。酒類販売などを手がける徳岡グループが計画したもので、航空機を使う輸送は環境負荷が高く、フランスの生産者もビジネスモデルに限界を感じていたことが背景にある▼フランスから中国・浙江省の義烏まで鉄道で輸送しトラックで上海港へ。そして海上輸送で東京港・大阪港に到着する。30日以上の長旅になる。輸送業者と事前に試験を行い、合理的な確証を得たうえで実行に移した▼コロナ禍の影響によって航空便が大幅に減少したため、ボジョレーワイン委員会が便を確保しやすいように例年より出荷日を繰り上げたことで輸送日程に余裕ができた。空路に比べて温暖化ガスの排出量は20分の1、輸送コストも3分の1に削減される▼今回輸入されるのは約27万本。徳岡グループはこれまでも貨物運賃をできるだけ抑える努力を続けてきたという。日頃ワインはたしなまないが、地球環境に優しく懐にも優しい(はず)のボジョレー・ヌーヴォーならば是非味わってみたい。(20・11・6)

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