記録的な少雪が続いていた札幌が、6日に24時間で40センチの積雪というこれまた記録的な大雪に見舞われた。暖冬から一転、厳しい寒さが襲来し、この日の同市の最低気温はマイナス10度。道内の2つの観測地点ではマイナス30度以下も観測された▼当地はちょうど雪まつりの開催中。雪不足で必要量の確保に苦労した。郊外のサブ会場では、子どもたちがそり遊びを楽しむ人工ゲレンデを例年より縮小せざるを得なかったとか。始まった途端にドカ雪というのは、何とも皮肉なことだ▼技巧を凝らした雪の彫刻も、雪をかぶれば形が分からない。降り続けば、雪像から払い落とす難儀な作業が必要になる。国内外から毎年200万人が訪れるが、大雪となれば交通網の混乱は避けられない▼準備段階では十分な積雪があり、開催中は好天に恵まれるのがベスト。もっとも、あまり暖かくなりすぎると今度は雪像が融け出す。雪まつりに限らず季節や自然をウリにする各地のイベントには常に気象要因のリスクが付きまとう▼今年は特殊事情が加わった。新型肺炎の影響で中国人団体ツアーのキャンセルが全国で相次ぐ。気まぐれな自然と折り合いをつけるだけでも厄介なところに、想定外の事態である。地域経済に占める観光の役割が増すなか、大きな落ち込みを回避する施策が重要になっている。(20・2・10)

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