立春が過ぎ、寒暖差の激しい日が続く。関東では今月4日、1951年に統計を取り始めてから最も早く春一番が吹き、先週も暖かな日中ながら強い風が吹いた。ことわざ「風が吹けば桶屋が儲かる」は因果関係の複雑さを表現しているが、先日、ゴルフ場で強風に悩まされた結果は明らかだった。桶屋が儲かるような意外な結果は待っておらず、予想通り肩を落として帰宅した▼世界はコロナという大風が吹き荒れている。人類はワクチンという強い味方を手に入れようとしているが、各国で争奪戦が繰り広げられている。日本で全国民が接種できるのはいつなのか、世界に春が訪れるのはいつなのか、期待と現実という寒暖差の激しい日々が続いている▼化学企業の決算発表がピークを過ぎたが、当初想定以上に健闘している企業が多い。コロナというこれまで経験したことのない逆風にさらされながら、自動車など顧客産業の回復や化学品市況の上昇などに支えられ、コロナ前の利益水準を取り戻しつつある。株式市場もこうした動きを敏感に察知し、上昇の風が吹いている▼色々な風が吹き不確実性が高まる世の中で、持続的成長を遂げるのは容易ではない。しかし風をむしろ味方に付け、目標に向かって一打一打に集中し続けられれば、自ずと結果は付いてくるはずだ。(21・2・15)

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