ここ数年、500円玉貯金を続けている。平日の昼食代をワンコイン以内に抑えて1000円札を出しておつりをもらう。コロナ禍で昨年は思うように貯まらなかったが、通常なら1年間で10万円以上貯まる計算になる。大きな出費があった時、旅行をする時などの原資にしている▼いざという時、手元に自由になる現金があるのは安心にもつながる。日本の家庭にはどのくらいの現金、いわゆるタンス預金があるのか。参考になるのが日本銀行が四半期ごとにまとめている資金循環統計。2020年12月末における家計(個人)の現金は101・4兆円と初めて100兆円の大台に乗った。日本の国家予算に匹敵する規模だ▼預金、証券、保険などを含めた家計の金融資産残高は前年同月比2・9%増の1948兆円と過去最高。外出を控えたことによって出費が抑えられたほか、10万円の特別給付金の一部が使われず貯蓄に回ったことなどが考えられる▼企業(金融機関を除く)の金融資産も同6・2%増の1275兆円と増加。先行きが見通せないなかで設備投資に慎重だったことなどが要因か▼大括りの統計では金融資産が増えているが、個別の事情はそれぞれ。新年度になって教育費が増える家庭もあるだろう。その影響で小遣いを減らされてしまう御仁には同情するしかない。 (21・4・2)

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